未分類 カーライル博物館 夏目漱石 公園の片隅に通りがかりの人を相手に演説をしている者がある。向うから来た釜形《かまがた》の尖《とが》った帽子を被《か》ずいて古ぼけた外套《がいとう》を猫背《ねこぜ》に着た爺《じい》さんがそこへ歩みを佇《とど》めて演説者を見る。演説者はぴたりと... 2019.06.16 未分類
未分類 吾輩は猫である 夏目漱石 一 吾輩《わがはい》は猫である。名前はまだ無い。 どこで生れたかとんと見当《けんとう》がつかぬ。何でも薄暗いじめじめした所でニャーニャー泣いていた事だけは記憶している。吾輩はここで始めて人間というものを見た。しかもあとで聞くとそれは書生... 2019.06.16 未分類
未分類 『吾輩は猫である』上篇自序 夏目漱石 「吾輩は猫である」は雑誌ホトトギスに連載した続き物である。固《もと》より纏《まとま》った話の筋を読ませる普通の小説ではないから、どこで切って一冊としても興味の上に於《おい》て左《さ》したる影響のあろう筈《はず》がない。然《しか》し自分の考で... 2019.06.15 未分類